営業職に就いている方、営業で転職しようと考えている方が、今後のキャリアを考えたときにとっておくべき資格はどんなものがあるかご存知ですか?
営業マンはただでさえ日々の業務に忙しく資格に向けた勉強もなかなかできない状況にあるかもしれませんが、今すぐでなくても資格の有無がキャリアに影響してくる場面は必ずあります。
将来を見据え、スキルアップに寄与する資格について考えてみましょう。
そこで、ここでは
・営業職全般に役立つ資格
・業種別に役立つ資格
を内容と取得にかかる費用、仕事への効果とともに解説していきます。
1.いざとなったらつぶしが利く!営業全般に有利な資格
営業職に就くにあたって「絶対に必要な資格」というものはありません。
それでも、営業マンは顧客からの信頼がすべてと言っても過言ではなく、一定の資格を持っている、検定に合格しているということは信頼の上乗せにつながるもの。
自分自身のスキルアップにも必ず跳ね返ってくるので、広く使える資格についてもここで一度復習してみましょう。
1-1. 基本的な業務スキルの底上げに役立つ資格
① 営業士検定(初級・上級・マスター)
「営業士検定」は日本営業士会の検定制度。
「営業士」試験は、合格すると営業士として認定され、初級・上級・マスターの各級について、日本営業士会の教材に基づいた試験が年2回開催されています。
試験ではメーカーと販売先の双方の視点で商品と販売、販売促進、技術を理解していることと、営業に必要なマーケティング知識や営業技術、生産や商品開発等の知識とスキルを有していることが重視され、初級は基本的な営業業務、上級は営業管理業務や営業指導を含むレベル、マスターではマネジメント・マーケティングに関する高度な専門知識が出題されます。
実際には、資格の保有が直接もたらす効果というよりも合格に向けた学習をすることが営業力・マーケティング力の向上に役立つ資格と言えます。
なお、日本営業士会では全国試験のほか、研修及び研修後のテストを通じて営業士資格を取得できるコースも用意されています。
受験料:8,640円
試験開催日:各級につき毎年6月・11月の年2回
受験資格:初級はなし、上級は初級合格者、マスターは上級合格者
② 営業力強化検定
株式会社サーティファイの運営するビジネス能力認定試験のひとつで、営業の基本知識、マーケティング、顧客対応、営業提案などについての理解度を測る検定です。
公式HPからPC・モバイルなどを通じてWeb受験できるシステムとなっており手軽に受験できるメリットもあり、全国の営業マンと比較した実践力がわかります。
受験料:1,000円
試験開催日:随時(Web受験)
受験資格:なし
③ セールスレップ1級~3級
日本セールスレップ協会が営業のプロとしての能力を認定する制度で、3級から1級までの階級が設けられています。3級では営業・販売活動におけるマーケティングの基礎知識やメーカー・販売先への提案活動に必要な商品・販売・販促知識を習得している程度、2級は企画型営業・企画提案型営業の応用知識のほか、財務・企画運営管理や関連
法規に関する知識の習得、1級となると経営・企業評価の実践知識や営業・販売活動におけるマーケティングの実践・応用知識を習得していることが求められます。
受験料:8,640円
試験開催日:各級につき毎年6月・11月の年2回
受験資格:3級はなし、2級は3級合格者、1級は2級合格者
④ 普通自動車免許
道路交通法に基づく、自動車を運転するための、いわゆる「車の免許」です。
営業活動を行うにあたって、営業先を回ったり配送をしたりするために営業職に普通自動車免許の取得を求める会社は多々あります。
当然ながら日常生活でも役に立つのでとっておくに越したことはありません。
1-2. 自分に付加価値をつけるキャリアアップのための資格
ここからは、転職にあたって実際に自分の価値をUPさせられる資格について解説していきます。営業職への転職のみならず、幅広い職種で活かすことができる資格ですが、その分難易度も高く資格取得のために要する費用や時間も増えます。
① 販売士1級~3級
商工会議所が実施する認定資格試験で、営業職というよりマーケティングの色が濃い資格ではありますが販売促進やマーチャンダイジングといった流通・小売に関する知識・技能から財務予測などの経営管理までを網羅し、営業職でキャリアアップを目指すような場合にも知識として活きる内容です。
受験料:1級は7,710円、2級は5,660円、3級は4,120円
試験開催日:1級は年1回(2月)、2級・3級は年2回(2月・7月)開催
受験資格:なし
② 中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行うための国家資格です。中小企業における現状を分析し、企業の成長戦略に向けたアドバイスを行うことが主な役割ですが、専門知識を活用して企業と金融機関のパイプ役など、より幅広い活躍をすることが社会的に求められます。
営業職と直接的には結びつかないかもしれませんが、経営の診断や助言を行うことができる点においてビジネス全般において重宝される知識が身に付きます。また、中小企業診断士同士の相互交流は活発に行われており、情報交換からビジネスチャンスが生まれることも。
但し、2日間にわたる1次試験の合格後、2次試験と15日間の実務補習または実務への従事、または登録養成機関が実施する養成課程を経てやっと登録が叶うもので、ハードルはかなり高くなります。
受験料:13,000円
試験開催日:年1回
受験資格:なし
③ TOEIC・実用英語検定(英検)
TOEIC・英検はいずれも英語力を示すための資格で、TOEICは受験者全員が共通の試験(筆記・リスニング、マークシート方式)を受けた結果の点数で、英検は1級から5級まで7段階の級によります。
転職もそうですが、ビジネスで評価されるのはTOEICであれば700点以上、英検であれば2級以上のレベルです。このラインに満たない場合はアピールになりませんので、履歴書などにも書く必要はありません。
営業職に限らず、ビジネスで英語が使えることはワールドワイドな活躍ができることからキャリアアップにつながり、英語力を要する仕事であれば重宝される資格です。
受験料:TOEICは5,725円、英検は級により異なる(2級は5,800円、1級は8,400円)
試験開催日:TOEICは年10回、英検は級により異なる
受験資格:なし
④ ファイナンシャル・プランナー(FP)
日本FP協会の実施する認定資格試験で、金融や税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などの幅広い知識に基づいて家計に対するアドバイスとサポートを提供するものです。
CFPとAFP、FP技能士1級~3級の3種類があり、上級資格はCFP。ファイナンシャル・プランナーとして実際に活動するのを目指すのでなく知識を備えるための受験であればAFPで十分です。AFPは認定研修で定められたカリキュラムの修了及び2級FP技能検定(学科・実技とも)合格を備えることで登録でき、資格取得者はFP事務所などのほか、証券・銀行などの金融業界、保険業界、不動産業界やその他事業会社など、幅広い企業で活躍しています。
受験料:FP技能士2級が8,700円、認定研修は実施機関による
試験開催日:FP技能士2級が年3回
受験資格:なし
メモ)営業担当の次のキャリアを探すなら、ビズリーチのような、職歴・履歴書(通称レジュメ)を登録して待つだけのスカウトサービス(自分の所属している会社からは、自分のレジュメ検索できないようになってるようです)でスカウトが来るか試してみるのも一つです。
↓2ページ目でより他の営業に必要な資格一覧を見る
2.業種ごとに特有の有利な資格・知識
ここまでは幅広くつぶしがきく資格について書いてまいりましたが、もちろん業界ごとにそれぞれ求められる知識や技能は異なります。以下、業界特有の資格についてお伝えしたいと思います。
2-1. 不動産営業に役立つ資格
① 宅地建物取引士(旧名称:宅地建物取引主任者)
不動産取引に必要な関連法令・商慣行に関する知識を包括的に問われる国家試験です。出題範囲が民法(権利関係)、宅地建物取引業をはじめ、法令上の制限や税制関連までと非常に広く、難易度も高めです。
ただ、不動産の賃貸・売買契約時の重要事項説明は宅地建物取引士のみが行える行為なので、不動産の営業マンがこれを持っていないと自身で契約を完結することができず(他の資格者に重要事項説明を依頼することになります)ちょっと情けないです。
不動産業への転職の際にはぜひ取っておきたい資格です。
受験料:7,000円
試験開催日:毎年1回、7月開催
受験資格:なし
② 損害保険募集人資格(損保一般試験)
不動産と損害保険は切っても切り離せないもの。不動産業者の中には自社で損害保険代理店登録をしている場合も多く、営業マンが損害保険募集人資格を持つことが必須になっていたりします。難易度は高くなく受験料も手ごろなので基礎知識を身につけるためにもぜひ取得しましょう。
受験料:2,000円(基礎単位のみ)
試験開催日:随時、試験会場ごとに異なる
受験資格:なし
2-2. IT・SI(Sier)系営業に役立つ資格
① 基本情報技術者
IT業界においては基本中の基本ともいうべき資格ですが、開発などに携わるエンジニアでもなければ基本情報技術者試験に合格しておくだけでも便利です。IT人材となるための基礎的な知識と技能(基礎理論やシステム、マネジメントとストラテジー)を問われる試験で、「基本」とはいえども合格率は23%~25%程度となかなかの難関です。
受験料:5,700円
試験開催日:年2回(春期・秋期)
受験資格:なし
② ITパスポート
ITパスポートも基本情報技術者試験同様、情報処理技術者試験の一区分をなす情報処理に関する国家資格のひとつ。平成21年4月より導入された比較的新しい資格ですが認知度は徐々に高まっており、ITに企業活動や法務、経営戦略などを掛け合わせた内容の試験です。今はITと経営はどんな業種・職種においても必須の知識ですし、これからはますますその必要性が高まるでしょうから今後人気資格となることが予想されます。
受験料:5,700円
試験開催日:月3回程度、CBT(Computer Based Training)による
受験資格:なし
2-3. 金融系の営業に役立つ資格
① 証券外務員(一種、二種)
金融商品取引法をはじめとし、株式・債券業務、投信・投資法人に関する業務、証券市場の基礎知識や財務・税制などに関わる知識を問われる金融業界の基本とされる資格。業種にもよりますが、一種外務員は二種外務員よりも取り扱うことができる金融商品の範囲が広く、アピール材料とするなら一種外務員資格の取得がおすすめです。FXの営業などでも必要になる資格です。
受験料:8,704円
試験開催日:平日毎日
受験資格:なし
営業担当の次のキャリアを探すなら、ビズリーチのような、職歴・履歴書(通称レジュメ)を登録して待つだけのスカウトサービス(自分の所属している会社からは、自分のレジュメ検索できないようになってるようです)でスカウトが来るか試してみるのも一つです。
↓最後のページを見る
3.営業から事務への転職に役立つ資格
① マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
株式会社オデッセイコミュニケーションズの主催する、Word、Excel、Accessなどマイクロソフトアプリケーションの利用スキルを示すための資格です。事務職に就くにあたってはこれらのアプリケーションにおける技能は必須といえ、職種によっては応用スキルも求められます。スキルに自信がある人も、自分の事務処理能力を測るメルクマールにもなるので一度受験してみてはいかがでしょうか。
受験料:Word2013、Excel2013は10,584円
試験開催日:全国一斉試験で月1、2回及び最寄りの試験会場にて随時
受験資格:なし
② ビジネス実務法務検定1級~3級
法務担当などへの転職の際はもちろん、他の一般的な職種であってもビジネスパーソンが常識の範囲として基礎的法律知識を学ぶことができます。業種や職種によっては弁護士などへの外部の専門家への相談を行う場面もありますが、その際に必要な対応ができるなど、事務職の中でも専門職種へのキャリアアップを望むことができる資格です。
受験料:1級は10,800円、2級は6,480円、3級は4,320円
試験開催日:年2回(7月、12月)
受験資格:なし
③ 秘書検定1級~3級
文部科学省の後援する資格で、秘書業務に就くにあたって必要な知識と技能を問われる資格です。秘書でなくてもビジネス上のマナーを学ぶにあたって有益で、第二新卒など社会人経験の浅い方には特におすすめです。試験は理論と実技からなり、合格基準はその双方で60%以上をクリアすることです。
受験料:1級は6,100円、2級は3,800円、3級は2,600円
試験開催日:1級・準1級は年2回、2級以下は年3回
受験資格:なし
4.ハイレベル!トップ営業マンなら取得を目指せ
営業で活かせる資格は他にもいくらでもあり、上を見ればキリがありません。
例えば税理士や証券アナリストなどの超難関は転職するにあたっても非常にインパクトがあり実力を示すことができる資格です。
年収1000万円、またはそれ以上のトップ営業マンを目指すのであれば、このようなハイレベルな資格にも挑戦する価値があります。
5.まとめ
いかがでしょうか。
今回は営業の転職にあたって有利にはたらく資格・検定について語らせていただきました。
なお、資格を持っていることが直ちに対外的に・社内で評価されるわけではなく、資格を活用して何ができるか、ということの方が大事です。
将来のキャリアプランにも役立つ資格の取得を目指したいですね。
営業担当の次のキャリアを探すなら、ビズリーチのような、職歴・履歴書(通称レジュメ)を登録して待つだけのスカウトサービス(自分の所属している会社からは、自分のレジュメ検索できないようになってるようです)でスカウトが来るか試してみるのも一つです。
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