成長企業ほど人材不足
昨今、IPOや大型資金調達などで注目を集めるベンチャー企業ですが、その中には多くの成長企業が存在します。
成長企業では、積極的な事業投資による新規ビジネスの立上げが行われる傍ら、すでに確立している既存サービスについても、さらに拡大していくために人員の増強が図られています。
そのため、ビジネスの立上げ場面で必要な事業企画責任者や、事業を推進していくためのプロジェクトマネージャー、さらに人員を増強した際に必要となるチームマネジメントができる人材など、様々な役割の人材を常に必要としています。
このような人材を確保をするために、ベンチャー企業でも新卒で採用した社員を、上位のポジションを担える人材へと育成しています。プロパー社員は企業に対するロイヤリティもある程度保証され、これまでの実績も確実に把握できるため安心感があります。
しかし、プロジェクトやチームを率いる責任者になるためには、実務経験に基づく経験値が必要です。他社に先んじて業界内におけるポジションを確立するために”スピード”という要素が重要となる成長企業にとっては、新卒だけで必要な人材を確保しきることが難しく、外部の優秀人材に頼らざるを得えません。
ところが、ベンチャー企業の多くはまだ知名度がなく、『なんとなく不安定』『なんとなく激務そう』というレッテルを張られてしまうことも多いため、優秀な人材確保のハードルは高く、慢性的な人材不足を解消できていないというのが実情です。
ベンチャーで求められる人材とは
製品やサービスカテゴリーによって詳細な役割設定がなされ、組織の体系化が進んでいる大手企業とは違い、ベンチャー企業では役割の垣根を越えて業務を遂行していくことが求められます。そのため、必要であれば何でも取り組む、といった自主性、自律性はきわめて重要視されます。
例えば、法人営業がメインの役割とされていても、場面によってはマーケティングや、サービス導入後のフォローが求められることも珍しくはありません。もちろん複数業務をこなすことで負荷もかかってきますが、『早い段階で様々な経験を積みたい』『ゼネラリストとして歩んでいきたい』といった人にとってはベターな環境と言えるかもしれません。
また、ベンチャー企業は組織としての成長スピードが速いため、そこで働く社員も同様に速いスピードで成長していくことが求められます。そのため、物事を進める際に100%の確証を得てから進みたいという考え方ではなく、勝算が60%、70%でもまずは行動し、動きながら考える、といったタイプの方のほうが適しているでしょう。
若くして1000万プレーヤーを輩出する企業も
とあるベンチャー企業では、平均年齢はまだ29歳、最年少の課長は26歳、部長でも20代後半から30代前半という非常に若い組織構造になっています。課長ポジションの年収レンジは700万円~900万円、部長に至っては1000万円超と、大手企業にも見劣りをしない給与水準となっています。
このように若手でも実力があれば責任のあるポジションを獲得でき、またポストに空白があるため、獲得機会も多いというのはベンチャー企業の特徴でしょう。
”ポジションが人を育てる”といわれるように、若いうちから重要な判断を任される経験を積むことは今後のキャリア戦略上も非常に有益な打ち手となります。
もちろんベンチャー企業=成長企業というわけではなく、マーケットの優位性、事業戦略、社員のレベルなど様々な観点から成長企業であるか否かを見極める必要がありますが、年収1000万円というマイルストーンに早く到達したい人にとっては、一般的に認知のされていない企業にもチャンスは眠っている、という事実は見過ごすべきではないでしょう。
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