- 男性は転職のタイミングを逸しやすい
- 30代中盤の転職難易度が高い理由
- 女性はキャリアに危機感を持ちやすい
- 30歳前後の女性が転職のタイミングで気を付けるべき3つのポイント
- 問題の先送りが可能性を狭める
男性、女性問わず、「結婚」や「子供の誕生」といったライフステージの変化のタイミングに転職を考える方は多くいます。そして、その変化をきっかけに、たとえば「結婚と転職のどちらを先にしたほうがよいのか」「何歳くらいを節目に転職を考えれば良いのか」といった疑問を持ち始めます。
一概にこれが答え、とは言い切れるものではありませんが、本記事ではキャリアと転職のタイミングを考える判断材料を提供していきます。
男性は転職のタイミングを逸しやすい
男性の場合はキャリアに節目と言えるものがないため、なんとなく30歳、35歳、40歳という年齢や3年目、5年目といった社会人歴を目安に考えている方が多いと思います。そのため、転職の適切なタイミングを逸している方も多く見受けます。
一般的な求人情報サイトでも区切りのよい年齢層に対する特集が組まれていたり、よく記事に起こされていたりと目にすることが多いのもその一因ではあると思います。
また、30歳前後でキャリアに対してシビアに考えなくてはならない女性と比べ、そもそもキャリアについて真剣に考えるタイミングが女性よりも遅く、キャリアに対する問題意識が高まる年齢が遅い、というのも理由としてあげられるでしょう。
例えば、男性にとって転職を考えるきっかけとなる出来事は、女性と違い「結婚」そのものではなく、「子供が生まれたこと」による心境の変化であることが多いように感じます。実際私たちの会社にも子供が生まれたことで自分の仕事を見つめ直し、もっと子供に胸を張っていられる仕事につきたいと相談をされる方も相当数いらっしゃいます。年齢にして35歳前後の方です。
30代中盤の転職難易度が高い理由
35歳前後の年齢というのは仕事を通じて、今いる会社で自分がこの先どのようなポジションに着けそうかがおぼろげに見えてくる年齢でもあり、将来に対する危機感や焦燥感を感じやすいタイミングでもあります。
問題意識が高まり転職活動に臨んだとしても、現実的にはこの年齢になると、企業からは面接の場面においてポテンシャルではなく「今までの仕事の実績」「マネジメント候補としての特性の有無」を見られることになります。そのため転職によって希望する年収や役職が確保できるかは、それまでの積み上げによってほぼ決定してしまっているのです。
さらに仮に今まで実績を積み上げてきた方でも、家族構成の変化によって住宅の購入のタイミングが重なってしまったりすると、住宅ローンなどの関係から転職が難しくなり、転職を先送らざるを得ないというケースも出てきます。男性の場合、特に主たる生計維持者としてリスクが取れない状況になることも多く、タイミングを逸しやすいという事情もあります。
女性はキャリアに危機感を持ちやすい
女性のキャリアはその特殊性から事前に考えておくべきことや注意しておく必要のあることが多くあります。
一般的に男性と女性を比較した場合、どちらかといえば女性のほうがキャリアに対して意識が高いと言えるでしょう。
理由としては、30歳くらいまでには結婚して、出産も、という考えをお持ちの方が多いため、育休・産休というキャリアの分断期を迎えるにあたり結婚までを一つのキャリアの節目と考える傾向が強いからです。
また育休・産休から復帰した後に今の会社できちんとキャリアを積んでいけるかという不安を持つ人が多いことも理由としてあげられるかもしれません。
新卒として入社をしてから比較的短い期間にキャリアに対して真剣に考える必要性に迫られ、危機感を持ちやすいというのが女性のキャリアに対する考え方においては特徴的です。
30歳前後の女性が転職のタイミングで気を付けるべき3つのポイント
女性のほうがキャリアに対しての意識が高い理由は前述しましたが、こと転職という観点で考えた時に気をつけておくべき点があります。
1.転職は結婚よりも先にしておく
私たちのもとに「結婚と転職、どっちを先に決めたほうが良いか」という相談が持ち込まれることがあります。
結論から言うと、大半の方が転職を先に進めたほうが良いケースに当てはまります。
企業の中途採用におけるの判断基準の一つは「どれだけ会社に貢献してくれるか」です。これは貢献度はもちろん、貢献してもらえる期間も考えに入っています。
そのため未婚の女性のほうが既婚の女性よりも出産のタイミングはあとに来るだろうという仮定や、子供が生まれてからも働きたいと現時点で言っていても、出産後に考えが変わるリスクがあることを考えると、少しでも長い間、貢献し続けてくれる人材を選ぼうという考えが働くため優先度は「既婚の女性<未婚の女性」となるのです。
長期的に考えれば少しナンセンスな気もしますがこれが転職市場における実態です。
2.復帰後もキャリアに活かせる専門性を積む
新卒として入社をしてから3年~5年がたち、経験がそれなりに積めた20代後半から30代前半の女性にとっての転職は非常に重要なタイミングなので慎重に考える必要があります。
長期的にキャリアアップをしていきたい人であれば、産休・育休を経て復帰した後に今まで自分が培ってきたスキルや積み上げてきたキャリアを活かしたポジションに就きたいと考えるでしょう。
しかし、会社としては働く時間に制限がある復帰後の女性よりも、時間に融通の利く若手や男性のほうが生み出してくれる成果が大きいと考えがちなため、必ずしも希望の仕事に就けるとは限らないのです。
そのため、20代後半から30代前半という企業がまだポテンシャルで採用を決めてくれる年齢のうちに、自分の可能性を広げ、産休・育休などでキャリアにブランクが生じたとしても、ほかの人にとってかわられない専門性を付けておくことが長期的な視点でのキャリア形成には有利となるのです。
今一度、今の自分の仕事が変わりが利きやすい仕事なのかどうなのかを見つめてみてはいかがでしょうか。
3.産休・育休制度の有無ではなく、運用の実態を把握する
現在の会社で産休・育休の制度が活用されておらず、先のキャリアを見据えたうえで転職活動を行っている方もよく見受けます。
実際問題、復帰後も活躍できる場が会社になく、やむを得ず出産を機に退職し、正社員ではなく派遣や契約社員、パートという就業形態で働かれている方もいらっしゃいます。
長期的に仕事をし続け、キャリアアップをしたいと考えている方は是非、制度の運用実態を確認するようにしましょう。
企業の求人情報の福利厚生に関する欄に育休・産休の制度の有無については記載があると思います。
ここで求人情報に記載があるからと言って安心するのではなく、女性が本当にキャリアアップしていける環境があるかどうか、実際の制度の運用実績をきちんと面接などの場面で確認をしましょう。
ある一定の確率で制度の利用者がいるかどうかを確認することで、実際に会社の中で女性の育休・産休に対して受け入れる風土があるかはおのずと見えてくるはずです。
また実際の制度を利用したことのある社員から話を聞いてみる機会を採用担当者に設けてもらうのも実態を把握する良い手と言えるでしょう。
問題の先送りが可能性を狭める
結婚や子供の誕生など人生には様々なライフステージの変化が訪れます。その都度みなさんにとって重要な決断を迫られることになります。
ここで大切なことは決断を先送りしないことです。
問題を解決しないまま先に送るとさらに次のステージの変化の際に新たな問題が積み重なってくることになり、問題がさらに複雑化していきます。さらに言えば、30代中盤にも差し掛かると前述のとおり、キャリアに関する問題だけではなく、家族や住宅に関する問題も生じて来るため、早い段階からキャリアについて深く考えておくことが準備としてとても重要です。
年齢にかかわらず、その都度問題を一つ一つ解決していくことが30代から先のキャリアの選択肢を狭めない最良の打ち手にもなります。
みなさんもぜひいま起きている問題を直視し、解決していくことでキャリアの可能性を広めていっていただければと思います。