初めてのときは誰でも迷う職務経歴書
第二新卒で転職しようとするときに、まず初めに迷うのが職務経歴書の書き方、ではないでしょうか。
ほとんどの場合、初めての「転職」ということになるわけで、
・職務経歴書なんて書いたことない・・・一体どんなもの?
・「職務経歴」と言えるほどの職歴もないのに、何をアピールすればいいの?
など、どのようなものを作成すればいいのか、いろいろな意味で見当もつかないという方も多いと思います。
ここではそんな第二新卒の皆さまに向けて、「職務経歴書とは何ぞや」から、その書き方とポイントを徹底解説します。
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職務経歴書は自分を売り込むためのプレゼン資料
履歴書にも職歴を書く欄はあるけれど、それとどう違うの?
――― 初めて「職務経歴書」の提出を求められたときに多くの方が抱く疑問です。
第二新卒で転職しようとする場合は特に、イメージがわかないかもしれません。
なぜなら、第二新卒で転職という場合は、前職ではどんなに長くても研修期間などを含めて3年程度短ければ数ヶ月間の実務経験しかなく、自分がそれまでやってきたことを自分の「職務経歴」として語るほど深く理解していなかったり、そもそも自身の将来のキャリアと結びつくような業務にあたることができていなかったりするケースが多いのです。
職務経歴書は、本来**「自分を企業に売り込むためのプレゼン資料」**のようなもの。
端的に言えば、「自分はこれまでこんなことをやってきて、こんなスキルを身につけていて、こんなことが得意だからその経験を御社でこのように活かすことができます」ということを企業側に提案し、企業に自分という「商品」を買ってもらうための資料です。
さて、いわゆる普通の中途採用への応募であれば、「職務経歴書」という言葉のとおり、自分の職務の経歴とそこから通じて身につけたスキルを語ることがメインになりますが、それはある程度社会人としての実績があって、その実績相応の知識やスキル、ビジネスマンとしての見識を身につけている人の話。
第二新卒での転職の場合は、職務経歴書を書くにあたって視点を変えて考える必要があります。
以下、項目別に説明します。
実質的な「職務経歴」はないものと思おう
もちろん、第二新卒と一口に言っても、転職を考えたときの年次も違えばそれまで担ってきた仕事や役割も様々です。例えば丸三年間は腰を据えてひとつの会社で実績を積んできた人と、入社後半年で今の会社を辞めようとしている人では天と地ほどの違いがあります。
また、就業期間の長さにかかわらず、前職で抜群の活躍を見せ、大きな成果を出してきたという特殊な例もあります。
ただ、一般的に「第二新卒の転職者」というだけで、企業側の人事担当者はその職務経歴を実質的な「経験」として見ないことがほとんどです。
就業期間の短さゆえ、ということもありますが、その短い期間で転職を考えなければならない状況になったということは、意味のあるスキルが身についている状態であるとも思わないのです。
反面、社会人経験が浅くても、なぜか背伸びして自分の「職務経歴」をそれらしく語りたがる人もいます。「自分を良く見せたい」という心理ももちろんありつつ、おそらく「職務経歴書を出す以上、何らかの意味がある経歴を書かなければいけない」と気負いすぎている面もあるのではないかと思いますが、上記のとおり、人事担当が取り合わないのですから下手に誇張するのはやめましょう。
面接などで粗が出ては逆にマイナスになりますし、正直に仕事内容を正確に伝えることが先決です。
なお、「スキル」としての職務経歴としてはなかなか扱ってもらえませんが、自分なりにその仕事を通じて身に付けたものがあればそれは書くべきです。
自己PRは「今の自分」を振り返って考えよう
では、第二新卒が職務経歴書で一番力を入れるべきなのはどこなのでしょう。
それは、いわゆる「自己PR」です。
自己PR、自己分析、というのは就職活動の一連の流れの中でなぜか面倒な作業、億劫な作業の分類として記憶されている人も多いと思います。
そのためか、就職活動のときに使ったものをそのまま流用すればいいやー、なんていう横着をしようとする人もいますが、これは一番してはいけないこと。
なぜなら、第二新卒で転職しようとする人は、多くの場合において就職活動時に自己分析をきちんとしなかった、あるいは自己分析が間違っていたために、企業と自分との間でミスマッチを起こし、結果として短期間で転職を検討することになっているのです。
第二新卒にとっては特に、まさに自己分析と自己PRの作成が最重要となるポイント。
ここで改めて自分を振り返って分析してほしい、ということはもちろんですが、新卒での就職活動時との比較もぜひしてみてください。
短い社会経験の中でも、必ず何らかの「気づき」が得られたり、自分の目指すものが本当は学生時代の思い込みと違った、ということが必ずあるはずです。
それが「今の自分を振り返る」ということ。
今の自分を振り返ってみた上でないと、今の自分に必要な自己分析はできません。
「弱み」が自己分析のポイント
今の自分を振り返りつつ、まずは自分の強みと弱み(課題)を整理しましょう。
やり方は人それぞれですが、周りの人に意見を聞くことはいつでも効果的です。
20代前半くらいの社会人は特に「自己評価」と「他己評価」のギャップが大きいことも多く、自分では認識できていなかった強みや弱みに気づかせてもらえる場合もあります。
次に、自己分析を通じて考える場合ですが、これもやはり改めて「今の自分」のことをよくよく考えてみてください。
学生時代に考える自分の強みと、就業経験のある状態で考える自分の強みはまた違いますし、今の方が自分の特性をビジネスとつなげて考えることができると思います。
なお、「ビジネスとつなげて」とは言っても、第二新卒の場合はスキル面、業務上の「得意・不得意」ではなく、人物特性としての強みをアピールポイントにします。なぜなら、「
第二新卒の転職でうまくいく人、いかない人
」でも書きましたが、企業側の人事が第二新卒を見るときにはビジネス上のスキルではなく、例えば「人を巻き込んで物事を推し進めることができる」とか「コミュニケーション能力に長けていて、反対意見を持つ人を説得できる」など、いわゆるポータブルスキルを重視するからです。
以上を踏まえて、自分の強みを応募先の企業・職種でどう活かすことができるかを具体的にイメージして、自己PRとして職務経歴書に書き出してみましょう。
さて、このときに、自分の抱える課題、つまり弱みについても整理しておきます。
強みというのは誰しも他人に話しやすいですし、この会社で働きたい!と思えば熱意を持って話すことができますが、弱みとなると違います。
自分でわかってはいても何となく目を背けていたり、認識できていても課題の克服に向けて対処していなかったりしてしまいがちですよね。
「弱み」について職務経歴書に文章として書く必要はありませんが、面接などで人事が聞きたいのは強みよりも弱み。
自分の抱える課題としてきちんと認識して、弱みを直視することができているか、また、その弱みを克服するために具体的にアクションを起こしているかどうかを聞いてきます。
第二新卒は特に、その弱みを乗り越えることができずに前職を退職しようとする場合もあり、今後同じことを繰り返すリスクがないかを見る必要があるのです。
但し、それも事前に自分の中で整理ができていなければ、付け焼刃の対応では面接を乗り切ることはできないでしょう。そのために、自己PRと並行して弱みについても十分に考えておく必要があります。
なお、ここで一点気を付けていただきたいのが、「強みっぽい弱み」「強みを裏返すと弱みにもなりえる」というような、強みにつなげることを想定した弱みでごまかしてはいけないということです。
優秀なビジネスマンは誰しも、レベルこそ違いますが自分の「今の課題」をよく認識していて、それに向けてどのような努力と行動をするべきかを考えながら仕事をしているもの。
これを機に、自分の弱みと徹底的に向き合ってみましょう。
退職理由と志望動機は具体性と明確性がカギ
退職理由と志望動機も、第二新卒で転職するときは自己PR同様に重視される点なので、心して書きましょう。
まず退職理由についてですが、前の章でお話しした「弱み」に通じる部分があります。
やむを得ない事情がある場合もなきにしもあらずですが、多くの場合は突き詰めれば「入社する会社を間違えた」というのが原因で、まずはその失敗を自分自身でしっかり認識している必要があります。
間違っても前職における人間関係や職場の雰囲気など、周りの人や環境のせいにしてはいけません。
他責傾向は第二新卒の転職で大きな減点になるだけでなく、今後のことを考えても絶対に自分のためになりません。
環境を理由にするのであれば、まずは自分がなぜその環境になじむことができなかったのか、自分自身にある原因を探ってみましょう。
次に、志望動機についてですが、これもとにかく具体性が肝心です。
相手企業がどんな事業を営む会社で、どんな社風で、といった企業研究はもちろんですが、企業側の特性と自分の特性ともに把握したうえで、両者を結び付けて考えることができなければいけません。
そのためにはまず、自分がどうなりたいか、どうありたいかという将来像を描き、現状の自分との差を埋めるために必要なものが何か、それを手に入れるためにどの段階でどのような行動が必要か、といった具合に逆算していきます。
その行動計画の中で、今行きたい企業での仕事が具体的にどのようにして自身の将来像に結びついているのか――― それが志望動機です。
将来像を描くところからのキャリアの逆算については、**[「第二新卒の転職 うまくいく人・いかない人」][2]**でも触れていますので、そちらも参考にしてみてください。
職務経歴書の書き方
最後に、実際の作成です。
職務経歴書には決まったフォーマットはないため、作成するときにあまり堅く考える必要はないのですが、自由度の高さゆえに書き方ひとつで印象がかなり変わる書類でもあります。
まずは一見して見やすいように適宜改行するようにし、強調したい箇所は下線を引く、太字を使用するなどして工夫してみましょう。
なお、自己PRや退職理由、志望動機の他、一般的な項目の書き方は以下のとおりです。
1.経歴の要約
通常は大学卒業から現在までの経歴の概略を100字程度にまとめて書きますが、第二新卒であればまだ学生時代の取り組みに触れるのもありです。なお、ここは特記すべき事項がなければ省略してもいいでしょう。
2.前職(在職中であれば現職)の会社概要
前職の会社について、正式な商号(社名)、事業内容、資本金、従業員数、売上規模など基本的な情報を記載します。
3.職務内容を時系列で
時期ごとに年月を記載し、所属部署と担当職務について簡単に説明します。
複数の職務を経験した場合は時系列に沿って記載します。
以上、第二新卒の転職で職務経歴書を書くにあたって必要なポイントをまとめてみましたが、いかがでしょうか。
なお、転職活動には欠かせない履歴書の書き方については、あわせて「
第二新卒の転職 履歴書の書き方とポイントを徹底解説!
」もご覧ください。