管理職・マネージャーの転職が活発に行われています。
ところが、管理職での転職を経験した方に対する調査で、その**半数以上が「成功実感がない」もしくは「(成功か否か)どちらともいえない」**と回答していることをご存知でしょうか(2016年6月、インテリジェンスHITO研究所調査より)。
転職先への入社後に仕事や組織・社風に馴染めず、うまくいかないケースが多いのはひとえに転職活動中の企業選びや転職そのものに関する判断ミスが原因。
マネジメント層ならではの失敗を引き起こさないためにも、まずは転職エージェントサービスを活用することから始めましょう。
目次
2-1. 経験は具体的にアピールするが、過信はしない
2-2. タイミングを見極め、動けるときに動かないといつまでも動けない
4-1. 女性管理職、なりたい?なりたくない?メリットとデメリットを斬る
4-2. 悩み多き女性管理職。ハードルへの立ち向かい方
4-3. 女性管理職の転職は難しい?40代の転職は?
※ Star転職+はハイクラス転職・マネージャー転職に特化した転職サイトです。
非公開求人を多数取り扱っており、キャリアコンサルタントによる無料相談も受け付けております。
1.管理職の転職、失敗と成功の分かれ目
1-1. なぜ管理職にまでなって転職に失敗するのか
管理職の転職での失敗は、前職での自身の立場を引きずることで起きます。
典型的な例として、比較的大手の企業からベンチャー・中小企業に転職した場合があります。
組織や制度が整い、固定化している大手企業では、管理職の仕事もルーティン化、マニュアル化、細分化されていることがほとんどで、セクショナリズムや保守的な仕事の仕方に自然と慣れてしまうものです。ところがベンチャー・中小企業では組織マネジメントがきれいに整っていることはほぼありません。会社規模が小さければ小さいほど、マネージャー以上のクラスには自身の役割を超えて積極的に会社や事業に貢献すること、時には大きなリスクを背負ってでも物事を推し進めていくことが求められます。そのような会社に大企業での心構えのまま入ってくる管理職ははっきり言って「使えない」のです。
また、会社規模の大小にかかわらず、前職でのスタンスをそのままスライドして転職先に持っていくことも失敗を招きます。
前職では会社の事業や組織、人を熟知していたマネージャーも、転職先でのポジションが管理職であってもその会社にとっては新入り。入社前に転職先の企業について完全に理解することは無理で、わかっているつもりでも実際の現場では違うことは往々にしてあります。
また、新たにマネジメントすることになる部下にとっても、「外から来る管理職」というのは微妙な存在。新入りのマネージャーが当然の如く「マネージャー風」を吹かせてくれば反発も起きるでしょう。
管理職だからこそ、まずは現場に足を運び、体験し、学ぶ。
そんな謙虚な姿勢と、会社を理解し組織を把握するあくなき努力が必要なのです。
1-2. 管理職・マネージャーの転職はマッチングが命
ハイクラス転職で成功するためには、転職者自身のスタンスの他にもうひとつ重要なポイントがあります。
それは、管理職・マネージャーの転職は「転職者と企業側のマッチングが命」だということ。
管理職・マネージャー、あるいはエグゼクティブクラスまで上り詰めた人ですから、ある程度はどこに出ても通用するスキルや能力を既にに持っているものですが、それゆえに転職活動においてもついつい主観で自己判断をしがちです。
最近では求人を含め入手できる情報量も多いため、これまでの管理職としての経験と自信から、業種・業態、募集職務内容、ポジションと年収などの条件で「イケる」と飛び込んでしまう人もいますが、実際には同じ「管理職」であっても、会社規模やマネジメント方針、組織構成やヒトの特性などによって合う・合わないは大きく分かれるのです。また、企業側が転職者に期待する役割が本人の思惑とずれることもよくあるミスマッチです。
※ ハイクラス転職を狙う人には特に「エージェントの活用」がおすすめ!
なるべく多くのエージェントを活用することが転職を成功させるコツでもあります。
2.経験とタイミングがモノを言う管理職転職
2-1. 経験は具体的にアピールするが、過信はしない
管理職転職では、ほとんどの場合これまでのマネジメント経験が問われることになります。
面接などで経験をアピールするにあたっては、職務経歴書に書くような職務内容、部下の人数や管理職を歴任した年数などに加え、自分のマネージャーとしてのスキルを象徴するようなエピソードを交えて語ることでより具体性をもたせることができます。
ただし、これまでの成功体験を昔取った杵柄として自分の能力を過信することも禁物です。
ハイクラス転職が失敗する典型例としてもお話ししましたが、管理職経験がある人は「管理職とはこうあるべき」という本人なり、属していた企業なりの考え方が相当程度出来上がっています。前職での仕事の仕方を引きずり、ともすれば失敗を引き起こす行動にもつながりかねないのです。
管理職として転職するのであれば転職先に合わせる努力が何よりも大切だったりします。
2-2. タイミングを見極め、動けるときに動かないといつまでも動けない
ハイクラス転職においては、タイミングを見極めることも成功の秘訣。
どこに重点を置くのか・何を目指すのかに焦点をあて、更なる高みを目指すのであれば、現職に留まるのか転職をすべきなのかを含めて考え、適切なタイミングを逃してはいけません。これは転職者側の都合・企業側の都合の双方から見極める必要があり、自身のキャリアプランから逆算して現状の成長曲線が緩やかすぎないか、組織側に何かハードルとなっている要素はないか、など、定点観測的に継続して検討するのがポイントです。
詳しくは「ハイクラス人材が考えるべき転職のタイミング」で解説しています。
3.これから管理職を目指したい人の転職
これから管理職を目指すというステージにある人も、現職に留まって昇進するか、管理職(候補)として転職を試みるかの選択肢があります。
また、そもそもの話ではありますが、「何のために管理職を目指すのか」「なぜ管理職になりたいのか」といった自身のモチベーションをはっきり言語化できる程度にイメージしておくことは必要です。「管理職」を漠然としたイメージだけで捉えることは非常に危険で、仕事の仕方から職務内容まで、会社が違えば大きく違うものです。また、上位ポジションであればあるほど、取り組む内容はその時々によって移り変わることもあります。
従って、マネージャーを目指して転職するような場合は特に、
・
管理職の定義、役割や仕事内容
・管理職に必要な資質・能力・スキル
・
同じ管理職でも大手企業と中小企業では異なる点
などを的確に把握した上で、自分の資質と転職先企業の特色などを総合的に勘案し、吟味して動くことをおすすめします。
但し、まだ若い人材でしなやかさ・柔軟さのある人の場合は早い段階で思い切って転職してしまうのも手です。ひとつの組織に染まりきってない状態で、馬力のある年代であれば順応力と吸収力が高く、新しい組織に慣れるのも早いはずです。
なお、これまではプレイヤーとして活躍していた人がマネージャーとしての転職を試みる場合には、プレイヤーからマネージャーへといきなり移行するようなパターンはあまりおすすめしません。自分の以後のキャリア形成のためにも、「プレイングマネージャー」としてのステージを一段踏むことで現場を俯瞰してみることができるようになり、その知識はのちにマネージャーとしても活きるものです。
詳しくは、「トッププレーヤーからマネージャーへの成功パスとは」で解説しています。
4.発展が目覚ましい女性管理職の活躍
4-1. 女性管理職、なりたい?なりたくない?メリットとデメリットを斬る
政府が「2020年までに女性管理職比率を30%に引き上げる」目標を掲げるなど、アベノミクスによる女性の活躍推進の影響を受け、一部企業においても女性管理職の登用が積極的に行われています。
一方で、第一に女性は男性と比べ管理職を志望する絶対数が少ないという問題があります。
さらに、世の中の風潮としても女性を管理職に登用すること、またそこに数値目標を設定することには厳しい声が多く、ゆえにいざマネージャーとなっても「女性だから昇進できた」などとレッテルを貼られ正当な評価が受けられないなど、社会的にも矛盾が生じているのが実情です。
ネガティブな論争が繰り広げられることが多く、これでは女性管理職が増えないのは当然ともいえます。
女性管理職が増えない理由には、いわゆる「バリキャリ女子」に代表されるような、「やる気満々で仕事第一、男性にも絶対負けないわ!という無駄に意識が高い系のちょっと感じ悪い女子」というイメージによる誤解も大いにあります。
実際には女性管理職は本人にも企業側にもメリットは多々あって、本人と企業のマッチングさえ合っていれば絶対的に付加価値を生み出すことができるものです。
その証拠に、数は少ないですが活躍している女性管理職が実際にいて、様々な民間企業が行っている「仕事に対する満足度」の調査では総じて女性管理職の方が男性管理職よりも満足度が高いという結果が出ているほど。
詳しくは、「 働く女性の「管理職になりたくない」を考える│女性管理職のメリットとデメリット 」で解説しています。
4-2. 悩み多き女性管理職。ハードルへの立ち向かい方
反面、社会的な偏見はさておいたとしても、女性管理職に悩みが多いことは確かです。
ひとつはもちろん、ライフステージの変化への対応。
結婚、妊娠、出産、育児を経ることを前提とすれば、女性のキャリアは男性と比べれば流動的にならざるを得ません。
もうひとつはやはり性差による問題でしょうか。
同僚となる男性マネージャーが女性マネージャーを見下したり、女性の部下や元同僚の反感を買ったり、失敗をすれば社内でも社外でも「女だから」と言われる・・・そんな前時代的なことも今でも実際にあります。また、壁に突き当たったときに、周りにロールモデル、相談相手となるような女性管理職がなかなかいないことも難しさの一端です。
ただ、困難にうまく立ち向かい、力に変えるワザももちろんあります。
うまくやっている女性管理職の立ち回り方はぜひ参考にしたいものです。
「女性管理職・ハイクラス人材の悩みとは│キャリアとライフステージの考え方」も参考にしてください。
4-3. 女性管理職の転職は難しい?40代の転職は?
女性管理職には前述のとおりただでさえ課題が山積していますが、女性管理職の転職となるとまた一段難しさが加わり、ひとりの力で転職を成功させるのはやはり簡単ではありません。
ただし、いくつかの法則を守ることでデメリットをメリットに変えることも可能です。
今は女性管理職に注目が集まっているという時代背景もあり、課題も多い反面大きなチャンスでもあるので、キャリアを追求したい女性が転職活動を行うには実は良い時期ともいえます。
「女性管理職の転職が難しい理由。30代、40代の転職を成功させる考え方とは」も参考にしてください。
5.管理職の苦悩。やめたい、降りたい、そんなときは
※ 「 転職もあり?管理職になりたくない、降りたい、辞めたいときの考え方 」
前章では女性管理職が抱える課題について多少触れましたが、管理職の苦悩は何も女性に限ったことではありません。
個別の部下の指導から部門全体のとりまとめ、さらには他部門とのやりとりや、自分より上位のポジションにいる人と部下との板挟み、更には同僚との競争や部門のトップとしての責任やプレッシャー・・・管理職には日々苦労がつきまといます。
マネージャーなんてもう降りたい!辞めたい!
そう思うこともあるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
降りる、もしくは一般社員として他社に転職する、などは可能性としてはありますが、そもそも管理職になれるほどの素養を認められたわけですから、周りに振り回されることなく自信を持って自分の強みを押し出していきたいものです。そこであきらめてしまうことは当然その後のキャリア形成には有利にはなりませんし、自分自身ではなく企業側に問題があるケースもあります。
どうしても今の組織ではうまくいかない・・・
そんなときはキャリアコンサルタントに相談してみるのもひとつの手です。
あなたの成長を阻害しない方向を一緒に考えてくれる相談相手を持つことで、独りよがりの判断で失敗するようなことは未然に防げます。