女性のキャリア形成は男性と比べて難しいものです。
日本がまだまだ男性社会であることももちろんですが、結婚・妊娠・出産・育児とライフステージ上のステップを踏みつつ男性と同じようにキャリアを築いていくのははっきり言って至難の業。ひとりの女性として「家庭を築く」というごく普通の目標があるなら、男性と全く対等に競うことはほぼ不可能なのが実状です。
中にはそれをやり遂げてしまうスーパーキャリアウーマンも存在しなくはないのですが、それを求められては女性管理職の比率など上がりようがありません。
「女性の活躍」が実現するためには、企業、ひいては社会全体にも意識改革が必要ですし、女性側にもキャリアを積む上で重視するもの、切り捨てるものを上手に取捨選択することが必要です。
※ 働く女性の「管理職になりたくない」を考える │ 女性管理職のメリットとデメリット
目次
4-1. 男性部下は引っ張るよりも後押しをする
4-2. 女性の部下には良き相談相手になる
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1.男性社会における「女性」の不利と逆差別問題
1-1. 女性の「不利」解消は徐々にだが進んでいる
今年で男女雇用機会均等法施行から30年が経過しましたが、社会における男女の均等という面では日本は諸外国から大幅な遅れをとっています。「同じ能力であれば女性よりも男性を」という風潮や、ビジネスの場面での「女じゃ話にならん」といった前時代的な発想もまだ根強く残っているのが実状。
キャリアを積もうと積極的な女性にも「女性だから」という不利が立ちはだかるのは事実で、日本ではまだまだ女性が男性と同じ土俵に立っているとは言えません。
反面、「女性管理職」が注目される機会が増えているのもまた事実。
第二次安倍政権の掲げる成長戦略における「女性の活躍推進」などの追い風を受け、女性の要職への登用を意識する企業が増えています。
女性だからこそ成し得たビジネス上の功績や、仕事における女性ならではの適性なども話題となることも多くなりました。
実態としては追いついておらず、まだまだ未整備の部分もありますが、かつてはハードルが高かった女性の管理職・役員としての活躍において少しずつ実績が増えていることや、人々の意識の中でも浸透し始めていることは良い兆候といえます。
1-2. 女性の積極登用は「逆差別」なのか?
一方で、女性の活躍を積極的に推し進めている企業では「逆差別」なる問題も生じています。
政府が「2020年までに管理職における女性の比率を30%に引き上げる」と具体的な数値目標を掲げているため、一部の企業ではこの数値に引っ張られ、あるいは自社独自の数値目標を設定し、女性の管理職への登用を活発化しているのです。
従来とは真逆の「同じ能力であれば男性よりも女性を」という動きも僅かながら見られ、確かに男性から見れば不公平ともとれます。
実際に、自分が管理職に抜擢されたことで「女だからというだけで昇進した」などという陰口に心を痛めている女性もいることでしょう。
でも、実際には企業にとって組織のあり方は大きな問題であり、本当に「女性だから」というだけで一部門を任せられるものではありません。
時代の風潮から、同じポジションに登用する候補として男性と天秤にかけたときの最終判断に「女性」というほんの一押しがあったかもしれませんが、そこに見合う能力がないのに大抜擢されたということではないのです。
周りのやっかみがあっても仕事を通じて「逆差別」にお膳立てされたわけではないことを示していけばよく、気にする必要はないと考えます。
ちなみに、そもそも「逆差別」という言葉自体が通常差別されるのは女性であることを前提としていることを示しているあたり、男性社会らしさが溢れていますね。そんな社会ですから、女性に少しだけ明るめにスポットライトが当たり始めた今の状態はさほど不健全ではないのではないでしょうか。
2.妊娠・出産はキャリアの障害になるか
冒頭でも述べた通り、女性はライフステージの変化によってキャリアに多大な影響が及びます。
中でも妊娠・出産は生物学的に女性にしか成し得ない仕事であることから、これはもうどうしようもないことです。
女性管理職が妊娠し、産休・育休を取得するとなれば、会社としてもその人が復帰するまでポジションを空けておくわけにもいかず、組織上慎重な対応が必要になります。
他の人に自分のポジションを取って代わられることや、復帰後に別の職種や職位を検討することも受け入れざるを得ない場合が多いでしょう。なぜなら、どんなに仕事ができても、会社のサポート体制が整っていても、子供がいることで予期せぬ事態が多々ある状況の女性が妊娠前と全く同じように活躍することは本人としても会社としても難しいからです。
しかし、だからと言ってキャリアを諦める必要はありません。
育児しながらの仕事はときに想像を絶する過酷さを極め、身も心も疲弊することは多々ありますが、そこを甘えずに乗り越える覚悟があれば以前とは別の形で活躍することも十分できます。
本当に大変なのは子供が2歳になるまで、とはよく言いますがこれはかなり確度が高く、育児が落ち着いた頃に元の仕事にチャレンジしてもいいのです。
柔軟性と余裕を持つことで、子供がいてもポジティブに自分のキャリアや人生と向き合うことができます。
そのためにも、「子供を産んでもバリバリ働きたい」と強い意欲を持つ女性管理職・ハイクラス人材には特に、「多少の停滞やつまづきも許容できるスタンスを持つこと」を心構えとして持っておいていただきたいと思います。
「絶対にいつまでに何々をやり遂げる」「何が何でも誰々には負けない」などは避け、目標を設定するなら少し緩めに設定すること。
でないと、もともと志の高いタイプなのでしょうから、妊娠・出産が原因で自分の目標が達成できないことがあれば大きな葛藤を抱えることとなり、苦しい思いをしがちです。
妊娠・出産・育児の経験は何にも代えがたい貴重な体験ですから、しなやかに、前向きに、自分のキャリア・ライフプランと向き合いましょう。
3.男性と勝負するには女性脳を活かす
冒頭の男性社会の話ではないですが、やはり日本におけるビジネスの世界で女性が「不利である」と潜在的に感じているのでしょうか、キャリア志向の高い女性の中には非常に性差を気にする人がいます。
男性と真っ向に競い、対等に渡り合うことを意識するあまりに自らに男性化することを強いて、結果空回りするという人も少なくありません。
でも、女性が活躍するためには、やはり男性の真似をするよりも女性の特性を活かす方が効果的なのです。
女性の中にも生まれ持って「男性脳」の人もいますので一概には言えませんが、女性は元来感情が細やかで感性が鋭く、また土壇場で臆せず大胆な発言や行動ができることがビジネスでも生きる持ち味です。
例えば新しい何かを生み出すときに、考え方が同じ人同士よりも、違う人が複数人集まった方がアイディアが生まれやすいのと同じで、男性が多い企業幹部の中で女性ひとりの直感力が活きることはよくあるのです。
部署を率いる管理職としても同じことが言え、支配欲求の高い男性は自分を「リーダー」としてチームを引っ張っていく、リーダーシップを活かしたマネジメントを得意としますが、女性は部門の結束力を高め、強いチームワークで部門の力を底上げするマネジメントに適性があります。
生来「家庭を守る」生き物である女性は面倒見がよく調整役としての能力に長け、親身になって部下の相談に乗ることや他部門との関係を良好に保つこと、板挟みになったときの調整の場面などが男性よりも活躍できる分野です。
無理に男性と同じように競い合うよりも「女性脳」を活かす方が勝ち筋が見えてくるものです。
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4.部下との関係も女性ならではの割り切りでうまくいく
女性はチームワークを築くのが得意と聞いて、疑問に感じた方もいるかもしれません。
というのも、新米女性管理職は特に、男性部下との接し方にも女性部下との関係の築き方にも悩みを抱えていることが多いからです。
前章にもありますが、女性はリーダーシップを持って複数の人を引っ張っていくことにはあまり向いていません。
そしてそれは本人の問題でもありますが、周りの心情にもよるところがあります。女性のリーダーに慣れていない世の中では、男性は戸惑いを感じ、女性は反発するのです。
管理職ゆえの孤独感も手伝い、寂しい思いをすることも多々あるでしょう。
しかし、ここにも無理に「リーダー」を張るよりも女性ならではの適性を活かしたマネジメントの方が成功する所以があります。
中には「男性以上に頑張らないと認められないのに、女性らしさを活かして仕事をしろって何よ」と女性管理職からは怒り心頭の声もあがっていると聞きますが、会社から女性らしさを強いられているというよりも、その方がかえってうまくいくことが多い、と気持ちを切り替えるといいでしょう。
4-1. 男性部下は引っ張るよりも後押しをする
企業のもともとの風土や前例の有無にも左右されますが、初めて女性の上司を持った男性部下は少なからず複雑な心境に陥るものです。
男性の多い業種・業態に属する会社であればあるほど上司としては男性しか想定したことがなく、本来そこの性差は意識する必要もないということにも気づかないのです。
そんなときに女性管理職の側も「男性には負けない」とギラギラしているタイプだとお互い牽制し合ってなかなか良い関係が築けません。「私が上司だから」といわば上から目線の指導者的な立場から接するよりも、後ろから見守り必要な後押しをするようなマネジメントが効果的です。
とはいえ、間違った方向に進みそうなものは正さなければなりませんし、極端に自分の立ち位置を低くする必要もありません。日頃は後押しに徹し、肝心な時には上司としての振る舞いをきちんと見せるバランスを保つのがいいでしょう。
なお、男性は一般的に女性よりも忠誠心が高いので、信頼できる相手には自分も信頼をもって応えようとします。
女性の上司と男性の部下という組み合わせは実は相性が良く、ときに頼り頼られるとても良い関係を築くことができるものです。
4-2. 女性の部下には良き相談相手になる
女性の部下は、やはり同性ですから女性管理職に対して男性ほど違和感は感じません。
その代わり「女の敵は女」というくらいで、女性同士というのはどうしても軋轢が生まれやすいものです。全く裏表なくお互いに絶対の信頼を置く関係というのは難しいもの。女性管理職自身もかつて女性の上司、先輩に対しては何らかの反発を抱いた経験があるでしょう。そもそも職場で人間関係の問題が生じるとき、その大部分は女同士によるものですし、女性同士の確執を完全に払拭することはできないと割り切ることも必要です。
一方で、女性は悩みがあるときに男性の上司を相談相手として選ぶことはなかなかしません。
純然たる仕事の話であればまだしも、多少プライベートなことや体調に関わることならなおのこと、良き相談相手として目上の女性を求めていることが多いのです。
そこで、女性の部下に対しては日ごろから仕事の話もプライベートの話もよく聞き、上司の側からちょくちょく声をかけることです。話ができる相手だとわかればそこに一定の信頼は生まれるもので、ビジネス上はそれだけで十分なのです。
たとえ陰口を叩かれていても、本心では好かれていなくても、仕事が円滑に進んでいればそれで良いとドライに考えましょう。
4-3. 女性に限らず、管理職は得てして孤独なもの
管理職は、孤独な存在です。
人の輪を大事にし、どこかの「輪」に属していることで安心感を持ちやすい女性は特にその孤独を感じるかもしれません。マネージャーになった途端、昨日まで一緒に騒いでいた部下の輪に急に入れてもらえなくなったり、仲のよかった同僚ともポジションが違うことでなんとなく疎遠になったり・・・これは割り切ることしかできません。
日本人の特性としても上下関係を重んじる傾向が高いことがあげられ、上下関係のある組織である以上、人間関係よりも上司として部下の信頼を得ること、自分の任された部署のパフォーマンスを最大化することを優先しましょう。
対等の立場にある友人とは違い、部下からの信頼は自分の仕事ぶりを見せることで勝ち取るしかありません。
そのためには、部下よりも仕事を一生懸命する上司であること。仕事をしない(してないように見える)上司に対する部下の評価は本当に辛いものです。
部下との関係を良好に保つことは孤独感の解消に大きな一助ともなりますし、仕事で努力することで自分のキャリアアップにもつながります。上司として部下よりも一段上の目線で考えることができるようになれば、孤独など気にならなくなる日も近いでしょう。
5.まとめ
本記事では女性管理職の抱きがちな悩みとその解消方法について解説してまいりました。
なお、当然ながら企業によっては真の意味で女性が活躍する風土が出来上がっていないことが多く、例えば実際には男性が中心の職場となっていたり、産休・育休の制度があっても運用実績が乏しく実際には機能していない場合もありあます。自分の将来のキャリア・働き方を見据え、長い目で見たときに今の職場で成長する自分の姿が描けないような場合は、早めに転職を考えることもひとつです。
「ハイクラス人材が考えるべき転職のタイミング」も併せて参考にしてください。
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